“再生” Report

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Vol.13

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日本デザインセンター画像制作本部

“再生” Report

〈 前編:岩崎慧、岡庭璃子、小野陽平、鈴木崇志 〉

2019年3月29日(金)〜31日(日)の3日間、日本デザインセンター13階ポリローグにて、画像制作本部2回目となる作品展を開催。今回のリポートでは、それぞれがなぜそのモチーフを選んだのか、制作背景や作品にまつわる思いなどを語ります。

「Obscure」 岩崎慧

かれこれ10年以上カラーコーンを撮っていますが、飽きることはありません。定期的にカラーコーンを撮りたい衝動に突き動かされ、フィルムカメラに単焦点レンズを一つだけつけて街に繰り出します。いろんな角度から観察し、引いたり寄ったり、無造作に置かれたカラーコーンの哀愁感、抽象性を最大限に引き出すアングルを探ります。その時決めているルールが、ぜったいに触らないこと。アングルをとるという作為以外の作為を排除し、限りなく無作為に近い写真を撮り続けたいと思っています。

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「Obscure」

「ヒマラヤの麓の龍の国 -Druk Yul-」 岡庭璃子

ブータンにはお墓を作る文化がありません。代わりにダルシンと呼ばれる経文旗を、亡くなった人の家から見える位置に108本立てます。ヒマラヤの風に乗って旗めくダルシンは幻想的で、目に見えないものを信仰しているブータンの人々の豊かさを象徴しているかのようでした。今回、動く写真という位置付けで動画を撮影したいと考えたため、いつでも動画の撮影ができるように三脚を持ち歩き、スナップを撮りたいと思った瞬間にシャッターとレックボタンを押しました。風の吹く音、人の吐く白い息、人の足音、朝焼けに響く鳥の声。写真と同じように構えても動画というメディアにはそれ以上に溢れてくる情景がありました。ヒマラヤの麓の優しく豊かな風が一人でも多くの鑑賞者に届き、前に進んでゆく力になれば本望です。

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「ヒマラヤの麓の龍の国 -Druk Yul-」

「埖渡村(ごみわたり)へ」 小野陽平

青森の山の中に、かつて祖母が住んでいた家があります。八戸と三戸の間に位置する埖渡という地域です。家から歩いてすぐの丘の上にはお墓があり、大きな松の木が一本生えています。今回久しぶりにそこを訪れました。小雨が降っている中、僕はお墓に線香をお供えし、松の木を撮りました。空き家になっている祖母宅や、昔は子どもが 遊んでいたり、馬を育てていたという松の木周辺を歩いていると、現実が更新されていくことの不思議さを感じます。フィルムで撮り、自宅の暗室でプリントしています。

「マヨネーズ・ソース」 鈴木崇志

思いつく限りのマヨネーズとソースのバリエーションを描いてみようと決め、それぞれ120枚ずつ制作しました。マヨネーズやソースは、一度かけてしまうとやり直しのできない行為です。一期一会のその食事を少しでも楽しく美味しいものにするべく、来るべき本番に向けた練習の数々であり、その記録を取るというコンセプトで今回制作しています。実際にソース・マヨネーズをかけたものを織り交ぜつつ、Photoshopを使って0からそれらしく描いているものが全作品の7~8割を占めています。実際には難しいソース・マヨネーズのかけ方もあるのですが、イメージエディターが制作しているということを表現するために、敢えてそのような作品も加えました。

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「マヨネーズ・ソース」