“再生” Report

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Vol.13

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日本デザインセンター画像制作本部

“再生” Report

〈 中編:堤麻里子、藤田健一、細川類 〉

「A Bell for Ursli –A Digital Pop Up Book –」 堤麻里子

“あなたが絵本を開くとき、物語が再生しはじめる”というテーマをもとに制作した3DCG・アニメーション作品です。“ウルスリのすず” という雪山を舞台にしたスイスの絵本をモチーフに、紙の質感や手描きの雰囲気を感じられるような世界を再現しました。本の3Dモデルは、古い図鑑の文字や革のテクスチャをマッピングして制作しています。3Dモデリング、テクスチャ制作、アニメーションというフローを通して静止画と動画を織り交ぜたことで、イメージした世界になりました。使ったソフトは、Maya、Photoshop、After Effectsです。少年が旅に出て、森に入り、動物と出逢い、すずを探して、家路につく・・というストーリーをひとつのビジュアルに凝縮しています。大切な絵本をそっと開く。そんな瞬間を想像してみてください。

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「A Bell for Ursli –A Digital Pop Up Book –」

「Garden」 藤田健一

3DソフトのZBrushを使い、粘土をこねるようにして作りあげたCG作品です。このソフトを使うには現実世界の彫塑と同じようにデッサン力が必要で、ノミやヘラの代わりに、3Dのブラシを使い立体を彫刻していきます。今回のテーマは、かつて手掛けてきた作品たちを蘇らせた、“生命の庭”。
真ん中に自分という芯があり、手を広げ、根をはり、進んできた道に、それぞれの作品が実っているイメージです。色やマテリアルは、台湾で見かけた石や、街で見かけたオブジェにヒントを得て、透過するような乳白色としました。石膏、植物、昆虫など、今回、再び芽吹いたものたちをひとつひとつ見つけて楽しんでもらえたらと思います。


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「Garden」

「トカゲの尻尾のように」 細川類

再生という展示テーマが決まったときに、“トカゲの尻尾”というモチーフが浮かびました。自分の意思とは関係なく切れてしまうように反射的に湧き上がるような感情や、新しく生えてきた尻尾のように以前と同じように見えても違うものであるという事実など、トカゲの尻尾を通じて思い描いたさまざまな“再生” を表現しています。撮影に使用した機材、技術、技法、被写体との向き合い方をはじめ、時間も天気も気分もすべて異なりますが、ひとつのテーマのもとで、それらが作品としてリビルドされていく過程も”再生”だな、と楽しみながら制作しました。