”Format ⇄ Non Format” Report

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Vol.7

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日本デザインセンター画像制作部

”Format ⇄ Non Format” Report

〈 前編:中戸川史明、鈴木崇志、岡庭璃子、小野真太郎 〉

2017年2月17日(金)〜19日(日)の3日間、
日本デザインセンター13階ポリローグにて、画像制作部初となる作品展を開催。
7人のクリエイターの作品を見るために、多くの方が足を運んでくれた。
何よりも感じたのは、やること、やり続けることの大切さ。
今後は年1回の開催を予定し、新しい出会いの場として発展を目指す。

“被写体は何でも良かった。ただ「写真」を撮りたいと思った” 中戸川史明

「コピーライターにお願いして、“わたしたちは世界にいつも遅れている” というタイトルをつけました。昔の写真屋さんが使っているような大判カメラに黒い布をかぶせて撮っているので、何となく画角を決めて、ピントを合わせて、あとは目をつぶって運を天に任せるような撮影をしています。自分が何かを意図的に撮るというよりは、自分の意志を超えたところで、カメラが世界を写しているというような感覚です。風景でも、人でも、モノでも、何でもいい。まっさらな気持ちで写真を撮るということをしたい。そんなことを考えました」

“狙ったのは、写真のようだけど写真ではない違和感” 鈴木崇志

「なるべく写真に頼らず、イメージエディターの武器が活かせる表現をしたいと思いました。制作したのは“トマトの輪切り” “玉ねぎのみじん切り” “すいかの乱切り”の3作品です。まずCGデザイナーにベースを作ってもらい、撮影した断面の写真を貼り付けていき、あえて荒らしたり汚したりすることで、日本画のようなトーン&マナーで仕上げています。実際はトマトの断面はこんなに薄くきれいには切れないし、玉ねぎのみじん切りもここまで揃ったキューブにはならないですよね。写真のようだけど写真ではない違和感に、目を留めてもらえたらうれしいです」

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野菜の切り方 説明図

“温度、匂いなど、目で見えるもの以外が伝わるか” 岡庭璃子

「“&Chair”というタイトルで、椅子のある風景を撮った写真を展示しました。そもそもは無意識だったのですが、あるとき写真を整理していたら椅子のスナップが多いことに気付いたんです。椅子はいたるところにありますが、とても人を感じるモチーフですよね。ここで人が休むんだろうな、話すんだろうな、憩うんだろうなということが連想できる。そういう空気感を写真で伝えたいと思いました。また、写真は目で見るものですが、風が吹いてそう、あたたかそう、コーヒーの香りがしそうなど、それぞれの想像が広がっていくような写真が撮りたいといつも思っています」

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&Chair

“連写はしない。それぞれと話しながら撮った1枚ずつのポラロイド” 小野真太郎

「“家族写真”をテーマに、コロンビア人である妻の家族を撮りました。コロンビア人は家族の繋がりが強いです。義祖母の兄弟が9人、義母の兄弟も9人、それぞれに3〜4人ずつ子どもがいて・・という感じなのですが、電話をしたら1時間で100人ぐらいの親戚が集まってくる。正直覚えきれないほどですが、羅列すると顔が似ていたりして面白いです。今回はポラロイドで1枚ずつ丁寧に撮影しました。撮影者によって全然違うものが写るのが人だと思う。関係性や距離感によって、本人でも気付いていないような内面が出てきたりする。人を撮るのがいちばん好きです」