一眼レフを使った動画撮影が始まる
一眼レフの動画機能が飛躍的に向上してきた5年ほど前から、会社として動画撮影が本格的に始まりました。とはいえ、当時はまだ動画と静止画はまったく別のものという認識が画像部内にありました。遠藤が動画に興味を持ったきかっけは、とあるロケハン現場で、一眼レフを使って試しに動画を撮影してみたこと。(できる、これはいける)と手応えを感じたそうです。会社の新規事業として動画プロジェクトが始動したこともあり、今後増えていくであろうトヨタ自動車からの動画のオーダーにも応えられるよう、クラウンを題材にした動画を初めて制作し、遠藤が撮影を担当しました。
最後の数パーセントのために映像機材も使いたい
しかし次第に撮影内容や自身の欲求から、一眼レフのカメラだけでは限界だと思い始めるようになります。そのきっかけとなったのが、とあるクルマの撮影でのこと。ロケ場所は荒地で足場が良くないことがわかっていたため、重量の軽い静止画用のレンズを持って現場に臨みました。
しかしいざ撮影が始まり、クルマが水たまりに飛び込んで走り抜けるというシーンをハイスピードで撮った際、ピントワークが完全でない箇所があったのです。基本的に静止画用のレンズはオートフォーカスでのモーター駆動や素早いピント合わせを目的としているのでピントを回す部分の回転角が少ないのですが、動画用はすべてマニュアルフォーカスで行うため回転角が大きい。例えば5m移動してくるクルマに対して動画用レンズだと1cmの回転角があるところが、静止画用のレンズだと1mmしかないというようなシビアな操作です。この繊細な差をリアルに体感したことから、最後の数パーセントを詰めるためには、やはり映像機材も扱えなければならないと考えるようになりました。
データの質にもこだわって
映像機材は価格が高く、三脚が150万円、ズームレンズであれば1本300万越えますが、良い機材にいつも触れることが早く慣れることにつながります。
「僕はスチールカメラマン出身ですし、いまもそうですが、そのような理屈は現場では通用しません。クルマの映像撮影は特殊な面があり、準備や費用も大がかりでミスは許されないので、確実に仕留めるためには必然的に映像用カメラとそれを扱えるカメラコントロール技術が必要だと思いました」。
また、データを確実に収録することも大切です。暑さ寒さはもちろんのこと、カメラカーでの並走や激しい振動など、過酷な状況に耐えうる機材を使わなければならない。撮影後に行う色調整、カラーグレーディングのためにも質のよいデータを提供する必要がある。そういったことを検証していった結果、静止画用機材に加えて、いまでは殆どの撮影に映像機材を用いるようになりました。