01. 広報車の機動性を活かした、既存モデルの新たな活用提案
そもそも、すでに発表されている広報車は機密管理や特別な輸送コストが不要であり、公道走行を含めた機動的な運用ができる大きな利点があります。ここで一見すると、「公道を走れる広報車であれば、そのままロケ地に持ち出して撮影すればよいのではないか」と思われるかもしれません。もちろん走行性能を紹介するインプレッションとキービジュアルを結びつけたり、動画を含めたダイナミックな表現にはロケ撮影は不可欠です。しかしことグラフィック領域のロケーション写真に限定するならば、あえて車を持ち出すのではなく、きちんとコントロールされたスタジオにてGYBOWを活用することのメリットと費用対効果を、主観を排し実務上の観点から冷静に見極める必要があります。
ロケ撮影は狙い通りの効率と結果を常に担保できるわけではありません。かつて、ロケーション背景に実車が佇むリアリティあるビジュアルを得るには、シンプルに「車両を現地へ運ぶ」か、「CGをベースとした複雑な工程を重ねる」かの二者択一しか存在しなかったのです。しかし現在では、撮影からCG、AI、レタッチまでを全方位でカバーする私たちの総合力を背景に、GYBOWがその両極の中間に位置する「第三の選択肢」として既に機能しています。ロケ撮影では避けられない天候や時間のシビアな制約、事故リスクや移動コストを最小限に抑えながら、同じスタジオにいながらにして「朝のクリアな光」から「都会の複雑な光が交差する夜景」へ、さらには「海外の美しいロケーション」へと背景環境を瞬時に切り替える。このようなマルチ展開がもはや現実のものとなった今、制作手法はかつてないほど多岐に渡り、何を狙いにいくか、どのリスクを回避するか、それぞれの場面において最良の組み合わせをしていかねばなりません。加えて広告素材アセットを効率良く早く制作し、幅広い媒体へと無駄なく配備するには、一つの素材がさまざまな場面で役立つエコシステム的な考え方も不可欠です。
こうした背景から私たちは、制約の少ない広報車であっても展開できる新しいビジュアルコミュニケーションの可能性を常に探っています。たとえば本国から支給されるグローバルアセットを、日本の情緒的な街並みの光へとフットワーク軽くローカライズする試み。あるいは年次改良や特別仕様車の登場に合わせて、既存の世界観を完全に保ったまま、新しいボディカラーやグレードのバリエーションをスマートに横展開していくような運用です。ときにはスタジオならではの抽象的グラフィックの光を実車にまとわせることで、フルCGIでは描き切れない「実車ならではの生々しい存在感」を残したまま、既存のモデルに新鮮でアート性の高い表情を与えることもできます。事前のシミュレーションによる確実性と、もうひと工夫がスタジオでシームレスに噛み合うからこそ、アイデア次第で日々の情報発信やWebサイトの表現力をどこまでも豊かにしていける、そんな今までにない自由なアプローチを、私たちはメーカーの皆様やアートディレクターの方々と一緒に模索していきたいと考えています。
フォトグラファーがGYBOWのセッティングを直感的に把握できるよう、表示を3Dにして視認性とUIを高めたアプリとなった。事前に撮影のシミュレーションができるため、スタジオで追い込める時間が増える。
