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画像制作部が目論む、自動車ビジュアル制作の新しい可能性。

FOCUS

Vol.17

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日本デザインセンター画像制作部

画像制作部が目論む、自動車ビジュアル制作の新しい可能性。

〈 GYBOWを起点とする、リアリティーへのもう一つのアプローチ 〉

日本の自動車広告の歩みと共に一灯一灯ていねいに光を紡ぎ、クルマの質感表現を支えてきた画像制作部。
長年培ってきたその「撮影技術」に今、新しい選択肢「GYBOW(ジャイボウ)」が加わりました。
2026年3月に画像制作部内で開催した「NDC-GYBOWエクスペリエンス」より、そのデモの様子をいくつか交えながら、
GYBOWを使ったワークフローについてお伝えしたいと思います。

What is GYBOW ?:機構的説明(仕組み)

 GYBOWは、CGI制作で馴染みのある360°HDR画像を用いて、世界中のあらゆる場所、あらゆるロケーション環境をスタジオ内に再現するユニークな軽量LEDリグシステム。組み立て・解体が容易な設計による高い可搬性を備え、条件が揃えばどこへでも「理想の環境」を持ち運ぶことができます。30秒で被写体の回りを一周する極めてシンプルな露光の間に、クルマの造形へ理想的な映り込みを描き出し、情感あふれる質感表現を可能にします。

 GYBOWは何かを自動的に行ってくれる親切な機材ではありませんが、環境を映してぐるっと一周まわる仕組みを利用して画を仕上げるのはフォトグラファーの技術であり真骨頂です。30秒待って出てきた画像には、ただ素直な驚きと納得感が同居し、仕上げるまでに無限の可能性が潜んでいることを実感できると思います。またクルマの撮影に特化した様々な機能があらかじめ備わっていますので、必要最小限の機材、スタッフ数で撮影が可能です。

GYBOWが30秒かけて一周し、クルマ全体を露光し終わった画像。カメラの前をGYBOWが横切っても、
映りには基本的に影響しない。カメラ側の順目面まで途切れのない映り込みを作成することが可能。<br>
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Photographer : 遠藤 匡<br>
GYBOW_Operator : 深谷 征生、平松 大地(VIG)<br> GYBOWが30秒かけて一周し、クルマ全体を露光し終わった画像。カメラの前をGYBOWが横切っても、 映りには基本的に影響しない。カメラ側の順目面まで途切れのない映り込みを作成することが可能。

Photographer : 遠藤 匡
GYBOW_Operator : 深谷 征生、平松 大地(VIG)

GYBOWがもたらす、クリエイションの新しい自由

 クルマの全方位を包み込む途切れない映り込みと、その場を再現したかのようなライティングとが同時に完結するGYBOWは、1カットあたりの撮影時間を劇的に短縮します。その高い汎用性はエクステリアのみならず、緻密な描写が求められるインテリアや部分的アップの撮影においても、かつてない効率と精度をもたらします。ある時には太陽を模した光を、ある時にはシャドウ部の隠れた艶感を引き出すための光など、フォトグラファーは思いのまま自由に追加可能ですので、常に理想的な光のコントロール下で制作に没頭することが可能になります。また、秘匿性の高い車両を遠方のロケ地へ運搬する際のようなリスクを最小限にし、かわりに私たちが「理想の環境」や「望む光」を車両のもとへデリバリーすることで、天候に左右されない安全かつ機動力のある制作フローが実現します。

 さらにGYBOWの特筆すべき点は、AI画像生成やCGIといった先端テクノロジーとの高い親和性にあります。これらは決して撮影と対立する技術ではなく、今や互いの強みを補完し合いながらクリエイティブを高めていくための強力なパートナーです。実写の持つ圧倒的な質感描写と、デジタルが描く無限のイメージを融合させるハイブリッドなワークフローは、これまでの表現の枠組みを軽やかに超えビジュアルの純度をさらなる高みへと引き上げてくれるでしょう。

GYBOW 制作フロー:理想を現実に昇華させる4つのステップ

STEP 01:SAMPLING - クルマの周辺をサンプリングする

 すべての起点となるのはクルマが佇むべき背景の選定です。ロケ撮影やストックフォト、あるいはAIによる生成画像などその背景に連動した高精度なHDRデータを、「背景と同様に」用意することから始まります。このHDRの精度こそが車体への映り込みの質を左右する決定打となり、データが良質であるほどボディに走るハイライトはなだらかに、トーンはどこまでも美しく描写されます。のちの圧倒的な実在感を生むための揺るぎない土台となります。

SAMPLING 背景となる場所の360°HDRデータを用意する SAMPLING 背景となる場所の360°HDRデータを用意する

STEP 02:EXPOSURE - スタジオに「現場の光」を定着させる

 次に、用意した背景の任意の位置へクルマを配置するため、撮影車を用いて精密なアングル検討を行います。何もない空間でパースを合わせるのではなく、事前にロケ現場等でダミーカーを用いた撮影を行い、カメラの高さやレンズのパースを完璧に把握した上で撮影に臨むことができるのであれば、最終画像は極めて高い整合性を発揮します。本番の露光では、GYBOWソフトウェア上でHDRの明るさや位置、高さを自在に調整し、キャラクターラインに沿った理想的な映り込みを追求します。さらに環境の映り込みだけでなく、物理的なライトを併用して「正しいボディ色」を丁寧に引き出すことで、その場所に実車が置かれた時の真の質感を超え、クリエイティブとクライアント双方の要望に応えていくことが可能となります。

EXPOSURE(30秒の露光) GYBOWを使い、スタジオで実車にその光を同期・定着。
EXPOSURE(30秒の露光) GYBOWを使い、スタジオで実車にその光を同期・定着。

STEP 03:INTEGRATION - 違和感を消し、一つの世界へ編み上げる

 最終工程では撮影した車両と背景画像をひとつに統合し、色温度や明るさ、解像感の微細な差異を整えていきます。GYBOWによって「物理的に正しい光」があらかじめ車体に宿っているため、合成特有の違和感を消し去るための過度なレタッチは必要ありません。むしろ修正を最小限に抑えることで、実写が持つ自然で柔らかな空気感をそのまま残した、シズル感のあるビジュアルを完成させることができます。

INTEGRATION(統合し、現実味を創造する)背景と車、そして演出の光を一つの世界へと結びつける。
INTEGRATION(統合し、現実味を創造する)背景と車、そして演出の光を一つの世界へと結びつける。

STEP 04:FINISH - 世界観を醸成するカラーグレーディング

 意図に沿ったカラーグレーディングや演出、トリミングを施して完成です。

FINISH(完成) 世界観に合うようにカラーグレーディングを画像全体に施し、適宜トリミングして完成。 FINISH(完成) 世界観に合うようにカラーグレーディングを画像全体に施し、適宜トリミングして完成。

Gallery

 先日画像制作部内で行ったイベント「NDC-GYBOW エクスペリエンス」から、GYBOWを使って撮影した写真の一部をご覧ください。

 ロケーション写真の映り込みとして使用したり、あるいはスタジオだけで成立する一枚の画としてグラフィックを背負ったり、使い方は本当にさまざま。正に無限のアイディアがここで実現できると実感した3日間でした。


 ぜひ一度モニターを覗き、部分的に拡大して仔細に鑑賞してみてください。




作品をみる
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Photographer : 遠藤 匡、細川類、山廣良輔
GYBOW_Operator : 深谷 征生、平松 大地 (VIG)
Designer: 西村健作、内田歩
Image Editor: 深谷 征生、入江佳宏 

撮影総費用に対するGYBOWの貢献

 クリエイティブ面のみならずコスト面でのメリットもあります。先に述べたようなGYBOWの特徴は、撮影を始めとした制作時間を大きく変化させます。従来の手法であれば全てをマンパワーに頼っていた作業の大部分を、結果GYBOWが肩代わりすることと同じですので、撮影チームはクリエイティブに集中でき、驚くほど短時間で仕上げることが叶います。条件にもよりますが、クルマのフルスタイリングであれば1日3~4カットもの撮影量を行なうことができ、いずれも従来の手法では到達しえない存在感と再現性を得ることが可能です。

 また30秒露光をかけるのでスタジオ内は全暗での撮影が望ましく、そのためGYBOWを含む照明機材は驚くほど小さな出力(ワット数)で足ります。これまでクルマの撮影では不可欠だった高出力かつ多灯照明、それに伴う膨大な電力コストや各機材費を大幅に削減できるこの特性は、GYBOW導入の費用対効果を最適化する大きな要因となります。
Behind the Scene of NDC-GYBOW experience in Tokyo, March 2026
Movie Director & Edit: 西山幸治
Movie Camera: 羽深俊幸、真島一樹

PROJECT PLANS - 最適なチームビルドのご提案

 私たちはプロジェクトの規模や求められる撮影カット数、さらには希望されるチーム編成に合わせて、最適な制作プランを柔軟にご提案いたします。

 まず機材のポテンシャルを現場へダイレクトに導入いただける「GYBOWテクニカルレンタル」では、システム一式と専任のオペレーター2名による技術サポートを承ります。今あるチームにGYBOWの機動力を追加したい場合に最適で、プロフェッショナルな撮影現場に確かな精度と高い効率性を提供いたします。

 さらにロケーション撮影を含むフォトディレクション全体設計からGYBOWの設営とオペレーション、そして撮影後の緻密な画像処理までをトータルでサポートする「GYBOWフルインテグレーション」もご用意しております。プロジェクトの目的や難易度に応じたオーダーメイドの見積もりにて、総合的なビジュアル制作をスピード感を持って完遂いたします。

最後に

 いかがでしょうか。
 GYBOWは私たちが提供できる数あるソリューションのひとつです。 刻々と表情を変えるロケ現場での一瞬を追い求めること。スタジオで一灯ずつ緻密にハイライトを構築すること。そしてGYBOWによってデジタルとリアルの境界を軽やかに超えること。全てはその一台を最も美しく描き出すための選択肢であり、どの手法が本質的に優れているということではないのです。私たちはそれら全てを、同じ熱量で大切に残していきたいと考えています。

 「今回はロケで本当の一瞬の光を狙いたい」「この内容とスケジュールならGYBOWが最適かも」 ・・・プロジェクトの数だけ正解があり、そんな対話から新しいビジュアル制作の可能性を一緒に広げていきませんか?自動車撮影に特化した機材であることは間違いありませんが、様々な被写体において応用可能な照明機材でもあります。

 GYBOWへの関心・デモのご依頼はもちろん、どんな撮影のご相談も大歓迎です。お気軽にお問い合わせくださいませ。





撮影、GYBOWに関するお問い合わせ:

株式会社日本デザインセンター 画像制作部
〒104-0061 東京都中央区銀座4-9-13 銀座4丁目タワー

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