“再生” Report

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Vol.13

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日本デザインセンター画像制作本部

“再生” Report

〈 後編:柳忍、山口毅、山廣良輔 〉

「東京、帰属未定地。夜」 柳忍

作品展のために写真を撮り下ろそうと思い、クルマを走らせていたら、ナビに “帰属未定地”という表示が出てきて俄然興味を持ちました。帰属未定地とは、どの市区町村に属するか決まっていない地域のこと。撮影したのは東京ゲートブリッジの近辺ですが、20〜4時などは誰もいなくて、ゴーゴーと何かのモーター音だけが響いているような場所。いまは何処にも属さず、忘れ去られているようでありながら、生まれ変わっていくような感じに高揚しました。展示ではそのイメージをそのまま再生したいと考え、透明なフィルムにプリントしてライトパネルの上に乗せました。8Kモニターを超える解像度の発光する写真の没入感は、とても気に入っています。

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「東京、帰属未定地。夜」

「Anima」 山口毅

生き物や星や天体などが持つ自然の造形美、生命の神秘性、不思議さに惹かれます。休みの日には昆虫などを探したり、天体観測に出かけたりし、観察や撮影、スケッチをします。それらの行為を通して、一度わたしの中に取り込まれ、濾過され、再び現れてきたものがこれらの作品たち。今回の制作ではコンピュータの中の粘土を直感的にスカルプティング(彫刻)するような制作手法でZBrushを使いました。出力紙には和紙を選び、紙の地色や風合いを生かすようライティングを工夫することで、柔らかな空気感が伝わればと考えました。デジタルデータのため3Dプリンターを使用すれば、これらのモチーフを立体造形として表現することも可能です。

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「Anima」

子亀図 /Rebirth /蜻蛉<br>
デグーとハムスターの物語 /宇宙旅行 /木の精<br>
Happy Plants /いつでも星は近くに /蝉<br> 子亀図 /Rebirth /蜻蛉
デグーとハムスターの物語 /宇宙旅行 /木の精
Happy Plants /いつでも星は近くに /蝉

「2019」 山廣良輔

日々変化を続けている街をテーマに、モノクロの作品を撮り続けています。さまざまな人々が往来し、廃れていくものがあれば、新しいものができる。通っていた喫茶店が再開発でなくなるというような分かりやすいことだけではなく、雲も、鳥も、植物も、人も、建物も、まったく同じ瞬間はない。そういう少しずつ変わっていくさまというエッセンスが入った街のスナップを撮ることに惹かれます。心がけているのは、あくまでも街の記録写真ということで近すぎない人との距離感です。出来事の中心には向かわず一歩引いたところから、日々起きているドラマを素通しのファインダー越しに見つめること。変化の中で自分の心に残っていくものを確かめること。そのようなことに魅力を感じます。さてこの街は来年どうなっているでしょうか。